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エットレ・バスティアニーニ研究会 2017年度活動行事計画

 


Activities of The Association for 2017
Attivita dell’Associazione in 2017

2017・1~2017・12

 


1
26日 東京 特別例会

バスティアニーニ没後50年の思い出を語り合い、歌などで楽しむ会

解説 桂川 清子
会場

品川区立中小企業センター

日時 14時~18時

 

主に1963年日本公演”イル・トロヴァトーレ”公演、1965年日本リサイタルの舞台本番前後にバスティアニーニと接する機会を持たれた会員の方の思い出をお話し頂いた。「舞台間近で見たため、バスティアニーニの細かい演技、例えば一幕でマンリーコの歌声が舞台裏から聞こえたとき、顔を客席に向けたまま眼球だけでその方を見据えたことを鮮明に思い出します。」とのお話しや、バスティアニーニはピアニストの三浦洋一氏と変わってピアノの椅子に座り、結構きれいなアルペッジョを弾いたのを覚えている等、貴重なお話しで、参加者は当時の姿が重なって深く偲ばれたようでした。
他の出席者からもバスティアニーニの歌唱方についての分析や、ピアニストの故三浦洋一氏がバスティアニーニと共演した思い出話を熱く語った40年以上前のFMラジオ放送の記憶等を語り合いました。素晴らしい美声と卓越した歌唱や往時の姿を偲ぶ会となりました。

 


129日 大阪 第42 総会・勉強会

仮面舞踏会

王の恋、貴族の恋、設定場所、身分を変えることで上演許可されたオペラ

解説 桂川 清子
会場

大阪市立生涯学習センター メディア研修室

日時 13時30分~17時

 

 

元はスェーデンを舞台として作曲していましたが、当時のイタリア国内の不穏な動きのため検閲が厳しく、やむなく本国イギリスから派遣のボストン総督に設定変更した作品になりました。従って展開で場面ごとに様々な矛盾が生じてきます。この例会では、背景当時のスェーデン王室の状況もよく解説されたので、スェーデン作品の背景とボストン変更の両方の背景や当時の事情が参加者に理解できたようでした。
1967年の日本公演時のカルロ・ベルゴンツィの格調ある様式に則った歌唱と美声や、懐かしいステッラの歌う声や姿も思い出されていました。バスティアニーニがこの公演のレナートに出演予定であったのに、亡くなったことで出演できなくなり、カラー放送されたことにも、返す返すも残念に思う悲嘆のような声が聞こえていました。資料も詳細で勉強になったという声も頂きました。

 

 

225日 東京 第37回 総会・勉強会

戦争と平和

「人は何を支柱にして生きてゆけるのか」このテーマとプロコフィエフの音楽

解説 丸山 幸子
会場

品川区立中小企業センター

日時 13時30分~18時

 

 

原作を貫いたロシアという国への観察眼と人間の「愛と精神性」を、オペラ作品も突き詰めています。アンドレイとピエールの“理想”と“生き方見つけ”を、プロコフィエフも見失いませんでした。しかもソヴィエト指導者からも認められる作品にするには、大変な労苦があり、また才能でした。トルストイの膨大緻密な群像劇を歴史オペラ絵巻に成し得ますが、オペラは作品の上演あっての芸術です。演出と演奏者と劇場スタッフの理想と熱意の結実がなければ感動は聴衆に届きません。
エピグラフ(「題辞」)合唱「ロシアの民衆 ヨーロッパ12ヵ国の兵力が」または序曲は一般に1部開始前に演奏される。だが20003月 パリ・オペラ座(バスチーユ)公演では、1部終了の場で「題辞」合唱される。大変珍しいケースだが、この方が軍人も貴族も民衆も一丸となって戦う決意と気迫が感じられる。歌唱部と伴奏部の音楽は現代音楽らしく複雑だが美しく調和している。

初演に関するメモ
初演・・・194567日モスクワ音楽院大ホールで「全11場」を原作朗読付きの演奏会形式。1946612日レニングラード、マールィ劇場で改訂版2夜上演。(ボリス・ポクロフスキー演出)。1948年「ジダーノフ批判」で一部改訂。1952年全13場とエピグラフ最終版として完成させるが、19533月プロコフィエフ死去。19536月モスクワで最終版初演したようだが、一般に195541日レニングラード、マールィ劇場で最終版初演とされています。
「戦争と平和」ヨーロッパ初演はイタリア
これらソヴィエトでの上演に先駆けて、フィレンツェで、1953年5月23日に、ヨーロッパ初演として一部カットはあるものの上演されています。残念ながらこの上演は、あまり関連本で記載されていません。大変貴重な音源で、戦後のイタリアでオペラ上演復活のエネルギーと、第二次大戦の深い反省と再建の熱気まで感じます。バスティアニーニ、コレッリ、カルテッリ、バルビエリ、ロジンスキー指揮。バスティアニーニのアンドレイは理想と現実の中で苦悩する青年貴族を体現する名歌唱です

戦争と平和

《戦争と平和》レクチャー後、特別ゲストとして、竹内知子さんがオペラ出演や日々の音楽活動されている経験から、「オペラ裏事情」のタイトルで話されました。歌手が起用される条件、衣装作りやさまざまな事柄の準備作業などを、段取りの良い構成と展開で流暢に話され好評でした。

 

 

バスティアニーニ没後50年をゆかりの方々と偲び、オペラ鑑賞も満喫の旅 3月7日~19日/バーナー

バスティアニーニゆかりの地でご親族やマヌエーラさんとお会いし、多くの都市でオペラ鑑賞と史跡や美術館巡りもするオペラツアーを会では既に4回開催しました。しかし今回は企画案内を出して募集しませんでした。従来のコースを回りますため、数度ご参加下さった方々がいらっしゃいましたからです。しかし、この様な趣旨の旅行を望まれた2名の方と、少人数で出発しました。
3月8日

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バスティアニーニ終焉の地であり、病気のため結婚を断念した婚約者であったマヌエーラさんとお互いに旧交を温め昼食を共にしました。マヌエーラさんは、バスティアニーニと過ごした思い出の本の執筆をされていらっしゃること、イタリアのバスティアニーニ協会のことなどを話して下さいました。彼女はバスティアニーニが息を引き取った住まいの傍を頻繁に通られる機会がおありで、彼の逝去の家の記念のプレートを見られる度に「幸子のことを思い浮かべる」と言って下さいました。
晴れ渡った真っ青の空とキラキラと輝く湖面のガルダ湖を眺められる好天に恵まれ、バスティアニーニが亡くなった家と、会とマヌエーラさんと共に設置した彼を記念するプレートを見、マリーア・カラスが過ごした家などを巡りました。
私(丸山)と桂川清子さんが初めてマヌエーラさんにお会いしたのは、2001年の10月でした。その後、私一人でお会いした時も含め、数多くお会いしていますが、いつも変わらない真摯さと笑顔で接待下さり、嬉しく深い感謝の念で一杯です。
シルミオーネの小さな町は、2005年頃までは日本人は少なかったのですが、今は少し多くなり、彼女は日本人の方と親しくなられ、日本の“半纏”風の上着を作って貰ったと着用してこられました。
3月9日
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パドヴァの世界遺産スクロヴェニ礼拝堂でジョットのフレスコ画鑑賞は、朝一番目の予約が取れ、堂内は比較的少人数でラッキーでした。美しい色が鮮やかに残った見事な壁面と天井画に圧倒され、まさに眼福でした。夕刻前シエナに到着しバスティアニーニの墓参へ。献花とメッセージを添えました。
日程調整上、今回初めてパンテーラ地区の方々と交流しませんでした。
(墓前の写真の日付は現地では9日の日没前でしたが、時差の為、日本時間の10日になっています)

3月10日

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ボローニャで《イタリアのトルコ人》を鑑賞。アルベルト・ゼッダの指揮が楽しみだったのですが、開演時、4日前に亡くなられたという知らせがありました。ご高齢でしたから、お聴きできるうちにと来たのですが、ここで訃報を聞くとは予想していませんでした。
ゼッダ氏はロッシーニ研究者として作品を掘り起こし、批判校訂版(クリティカル・エディション、ゼッダ編)で数々の埋もれた作品をROFで蘇演されて来られました。ロッシーニの真の偉大さを世界に知らしめた功績は、はかり知れません。
指揮は急遽クリストファー・フランクリンが務めました。実力派の彼の指揮とボローニャ管弦楽団の万全の演奏は、躍動感に溢れ、さすがの団員たちの技量です。
演出はダヴィデ・リヴェルモーレの読み替えなしの舞台に、太守セリムをシモーネ・アルベリギーニ、ジェローニオをニコラ・アライモ。フィオリッラをハスミック・トロシャン、ナルチーゾをマキシム・ミロノフと言う豪華メンバ―で、こなれた歌唱と演技でした。ザイダ役は日本でも注目され始めた脇園彩が歌っていましたが、声量が乏しかったようでした。

3月11日

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バスティアニーニのお孫さんのエットレ・バスティアニーニさんが、駅に車で迎えに来て下さり、バールでお茶を頂き、久しぶりにお会いした喜びやご家族の話をして下さいました。
その後、お子様たち、お母さまや奥様、妹さんと合流し、昼食をゆっくり頂きながら、近況やさまざまなお話しを楽しみました。歌や運動に熱中されているお子様たちの成長を見守りたい気持ちになりました。奥様も妹様も変わらず明るく親切に接して下さり、リラックスできます。いつも彼のお母さまは、もっとゆっくり来てほしい、と言って下さり、気さくで愛情を感じられ幸福感に満たされます。
初めてこのお孫さんご一家とお会いしたのは2001年の秋で、翌年日本にバスティアニーニさんとまだ彼の婚約者だった今の奥様が「バスティアニーニ没後35周年偲ぶ会」に来て下さいました。
昼食後はお母さまとバスティアニーニさんと散策しながら、歴史好きな私たちと同じように、お母さまも中世の歴史などを詳しく語って下さいました。貴重な経験でした。
本年はバスティアニーニ没後50年の大きな記念の年となります。しかし日本では以前の没後周年のような大きな行事が、バスティアニーニの熱いファンの高齢化などで開催できなくて、バスティアニーニと当時の大歌手たちという催しで開催する旨を説明し、快く受け入れて下さいました。バスティアニーニさんが駅のホームで見送って下さって、至福の日でした。

3月12日
sP1010813ここからはオペラ中心です。ボローニャからミュンヘンに入り、バイエルン歌劇場へ。人気演目と人気歌手の《アンドレア・シェニエ》はチケット入手が困難でしたが、何とかゲットできました。
舞台を幾つもの部屋(場面)に仕切って、主要人物たちの動きを同時に見せる手法は、他の公演でも目にしますが、アップで撮られた映像を見るのと違い、座席からは見にくいです。
激動の時代を意識した細かい表現や、断頭台のシェニエの体がうつ伏せになった途端、シェニエの首が落ち、掲げられるという生々しいリアルな演出に驚きました。
演出は映画『ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』他の映画監督でもあるフィリップ・シュテルツェル。カウフマン出演の2015年ザルツブルク祝祭大劇場《カヴァレリア・ルスティカーナ》《道化師》も、シュテルツェルは幾つかの部屋(場面)を仕切った舞台でした。今回と比べると、個人的には《カヴァレリア・ルスティカーナ》の熱愛のただなかにいる人物の行動を、時間軸で見せる演出の方が冴えていた様に思います。
指揮はイスラエル人のオマー(オメール)・メイアー・ヴェルバーで、まだ30代半ばという。ヨナス・カウフマンとアニア・ハルテロスの張りのある美声と表現力ある歌と、劇的なドラマを映画俳優の様に演技する二人を見つめていると、惜しいほど時間が早く過ぎてしまいました。ルカ・サルシのジェラールは声量豊かで歌の巧さもあって聴かせます。もう少し細ければ、イメージが立つのにという思いが付きまといましたが。
時代衣装とリアルな舞台と豪華キャストで、オペラ鑑賞の醍醐味を満喫できました。

3月13日

前日と同劇場で《ファルスタッフ》は、アンブロージョ・マエストリの十八番、バリトンの豊麗な美声と柔らかく、且つ大きな声を堪能できました。
ほぼ舞台いっぱいに、高低差がある大きな楕円形の台を置いたシンプルな装置だけで、見る方は張り合いに欠ける印象です。唯一、演出で面白いと感じられたのは、2幕で洗濯籠に入ったファルスタッフが、窓から川に投げ入れられた箇所とその後です。水しぶきが上がります。予想していなかっただけに、心の中で、「あっ」と声が出るようでした。水の中で溺れるようにあがく姿が、スクリーンで写し出され、その像に紗幕がかかっていたような、事実通り表現できませんが新鮮でした。他の歌手陣も豪華で、フォードはフランコ・ヴァッサッロ、クイックリー夫人にダニエラ・バルチェッローナという円熟の実力派で、二人共こなれた演技と歌唱です。フェントンはパーヴォル・ブレスリック、アリーチェはヴェロニケ・ゲンス、ナンネッタにエカテリーナ・シウリナ、メグにダニエラ・ピーニが揃い、声の競演に酔えました。指揮はアッシャー・フィッシュ、演出はアイケ・グラムス。

3月14日sIMG_7773

ミュンヘンからウィーンへ快適な列車で移動。《アラベラ》は人気と実力で申し分ないカミラ・ニールンド(ニュールンド)がお目当てです。練れた卓越の歌声に飲み込まれるようでした。
指揮は大御所のペーター・シュナイダー、ズヴェン=エリック・ベクトルフの演出は、まさに舞台背景当時のやや退廃的な近代ウィーンを感じさせてくれます。ホール内が、薄着の私には寒く感じられました。

3月15

ステファン・グールドとペトラ・ラングの《トリスタンとイゾルデ》。両者は共に幾度も歌いこなした演目で、期待の鑑賞です。
ヴァーグナーの中で、2番目に好きな作品で楽しみでしたが、ラングの声の調子が悪かったのか、声に抵抗感あり、イゾルデの歌唱部分にのめり込めず集中して聴けなかったのが残念でした。
グールドは安定したトリスタンです。他の歌手陣も素晴らしく、マルケ王はクワンチェル・ユン、クルヴェナールがマティアス・ゲルネ、ブランゲーネはソフィー・コッホと言う夢のようなキャスト。メロートもクレメンス・ウンターライナーで、指揮はミッコ・フランク、演出はディヴィッド・マクヴィガー。
前日のホールが寒かったので、厚着で備えましたが、この日は暖房が強めで暑かったです。

3月16日

“オルフェオとエウリディーチェ”題材作品を集めたコンツエルトハウスでのフィリップ・ジャルスキーのコンサート。
サルトーリオ、モンテヴェルディ、ロッシの《オルフェオ》とグルックの《オルフェオとエウリディーチェ》から、古楽器でジャルスキーだけが歌う伴奏と、序曲やシンフォニア演奏する豊富なプログラムです。
カウンターテナーの第一人者、貴公子と評され、美声だけでも他の追随を許しませんが、歌唱、表現力も群を抜いています。他のカウンターテナーの歌手たちもそれぞれ立派ですが、ジャルスキーは自然な発声で滑らかに歌い上げます。これぞ至高の芸術です。
最前列中央席で、古楽器の奏者たちが舞台上で演奏するため、ジャルスキーとの間隔が近く、表情は無論、眉や目の細部まで鮮明に見ることができ、感激の極みでした。

3月17

アンデァウィーン劇場で《イギリス女王エリザベッタ》を。ベートーヴェンや多くの名作曲家の曲がここで演奏されていたかと思うと、この場にいる喜びと小さな興奮に包まれます。
指揮・・・ジャン・クリストフ・スポノジ、演出・・・アメリ・ニーマイヤー(ニールマイヤーとも。女性演出家)、エリザベッタ・・・アレクサンドラ・デショーティ、レスター・・・ノーマン・ラインハルト、ノーフォーク・・・バリー・バンクス、マチルデ・・・イルセ・イーレンス、エンリーコ・・・ナタリア・カワジュク、グリエルモ(親衛隊長)・・・エリック・オルマン。この作品だけ指揮者のスポノジ以外、恥ずかしながら私には馴染みのない歌手と演出家でした。
舞台上に殆ど装置がなく、部屋、場所を示す壁状のものがあるだけで、時代衣装と現代衣装が混ざったもの。余りのシンプルな舞台と、ロッシーニ音楽との不適合さを感じ、音楽にのめり込めなかったです。しかし、よく知っていない歌手たちでしたが、役の人物の境遇や立場、精神面まで表現しようと迫真の演技を伴って、この音楽を良く歌い切っていました。

全ての7公演を4名で楽しめ、《イギリス女王エリザベッタ》以外の5オペラ公演と1コンサートを人気、実力の歌手たちの舞台で鑑賞できました。
ウィーン滞在が4日間あり、市内散策時、何度もこの地に来ていても、通りでスペイン乗馬学校の朝の調教見学が行われる白馬と出くわしたのは初めてで、幸運でした。美術館巡りや一人での行動ができ、天候に恵まれ、バスティアニーニ関連とオペラ三昧のヨーロッパ旅行でした。
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(ウィーン美術史美術館蔵 ブリューゲル「バベルの塔」)



521日  東京 第38回 勉強会

モーツァルト様々

1960年代から2016年の約50年の歩み

解説 桂川 清子
会場

品川区立中小企業センター

日時 14時~18時


 

1960年代からモーツアルトのオペラは特により多く上演されて来ました。モーツアルトは人間観察が鋭く、音楽による人物の描き分けがよく出来ています。舞台演出は、この50年で大きく変化し、戸惑う演出が多いです。鑑賞の仕方は人それぞれですが、モーツアルト作品に限らず、オリジナルを頭に入れ、下準備でよく知って見に行かないと難しくなってきました。
ドイツ語とイタリア語で作曲した作品がある中、《フィガロの結婚》ドイツ語版とイタリア語版を比較鑑賞すると、やはりこの作品はイタリア語でなければと実感します。名歌手の好演と演出から作品が生かされることなど、オペラ公演のありようを皆で考えました。

 

 

528日 大阪 第43回 勉強会

オテッロ

ヴェルディがようやく新しい時代のオペラ様式で書き生涯を代表する名作に

解説 丸山 幸子
会場

大阪駅前第2ビル

大阪市立総合生涯学習センター

日時
14時~17時

 

 

シェイクスピアの作家として、ボーイトの台本才能、これらも検証し、作品を多面的に考察しました。
オテッロの激怒の行動が嫉妬からだとする読み取りで良いのか、それでは腑に落ちない、という多くのオペラ愛好家の声から解明していきました。ロンドン、グローブ座演劇とオペラ場面を交差させて、オテッロの内面を探り出すことができました。
一 方、音楽的に《オテッロ》が画期的なのは、無限旋律で作られている点です。それまでの番号オペラからこのように変革しました。1881年に既に《シモン・ボッカネグラ》改訂版をボーイトの協力で取りかかった際、無限旋律を思考していました。そこから6年の後1887年という時代は現代音楽に近づいていました。ヴェルディは敏感に変革の風を感じながら、自分で考え工夫し、見つけ、辿りつきました。


 


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618日 大阪 第12音楽会 エル おおさか プチ・エル(地下1

☆♪★♫主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます。


 

プログラム

1、  関 朋子    マスカーニ「バッラータ」
2、  刈米 興子   ベッリーニ「激しい欲求」
3、  横川 隆一   トスティ「君なんか、もう」/「理想の人」
4、  丸山 幸子   チレア《アドリアーナ・ルクヴルール》~「私は芸術の下僕」
5、  志熊 道夫   モーツァルト《フィガロの結婚》~「もう飛ぶまいぞこの蝶々」
6、  大谷 陽子   ロッシーニ《イタリアのトルコ人》~「一人の男だけを愛するなんて気が狂う」
7、  武井 正之  ベッリーニ《清教徒》~「ほどいた美しい髪に花飾りをして」

♪♩ピアノ演奏

8、  藤田 牧子    メンデルスゾーン 幻想曲「夏の名残の薔薇」/無言歌集「春の歌」
9、  水沼 寿和    シューベルト=リスト「水の上にて歌う」/リスト「ハンガリー狂詩曲 第10番」

♫♩歌♩♫

10、丸山 幸子  マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》~「ママも知る通り」

11、志熊 道夫  モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》~「カタログの歌」

12、刈米 興子  ロッシーニ《セミラーミデ》~「麗しい光」
13、 関 朋子   ドニゼッティ《連隊の娘》~「富も栄華の家柄も」「フランス万歳 幸せの日々よ」
14、 武井 正之  ヴェルディ《ナブッコ》~「神よ、あなたは予言者の唇に」
15、 大谷 陽子  ドニゼッティ《ロベルト・デヴリュー》~「冷たい男よ 彼女のそばで暮らすがよい」…「流された血は」


 

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出演の皆様は長い期間、熱心に練習されて臨んでくださいました。
声楽指導の方やプロのピアニストの方、お仕事の傍ら個人でレッスンを受けて地道に勉強されてられる方などが共に会して発表します。お客様からは、若い出演者も楽しいが、60代70
代の演奏者から、音楽への愛と熱心さが伝わり感動しましたという声を頂きました。また、今は演奏していないが、60代以上の方々が音楽に取り組み努力する姿を見て、演奏に再挑戦して見たい気持ちになり励まされた、という方もいらっしゃいました。

 

 

85日  東京 第10回 夏のお楽しみ特集

バッハ「マタイ受難曲」 バレエ

教会音楽受容のメッセージ

解説 桂川 清子
会場

品川区立中小企業センター

日時 14時~18時


本年は1517年宗教改革の始まりとされる「ルター=プロテスタント500年」に当たり、プロテスタントがドイツで受け入れられた状況の話がありました。聖書中心主義、カトリックよりも一人の人間として神に対することができるという信仰の姿勢に、共感を呼んだと言うお話しは、参加者に刺激を与えられたようです。ペーター・シュライアー、ベルント・ヴァイクルの熱い熱唱と、2005年にバーデンバーデンでジョン・ノイマイヤー演出兼主演のバレエ版で、バッハの描く信仰の世界と現代バレエで表現する信仰と精神の深い掘り下げる芸術について考えました。

 

1111日 大阪 第44

名歌手たちの芸術を偲ぶ

バスティアニーニ没後50年を偲び、1950年代からの今は亡き名歌手たちの至高の歌唱を振り返ります

ソプラノとバリトンのミニ演奏もお楽しみください

解説 丸山幸子
会場

ドーンセンター視聴覚スタジオ(5階)

(大阪府立男女共同参画青少年センター 天満橋)

アクセス

日時 11月11日(土)13時30分~17時
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今年はバスティアニーニ50年カラス40年デル・モナコ35年の没後周年の年です。研究会はバスティアニーニの没後25周年、35周年、40周年の偲ぶ会を開催してきました。今回は、三大歌手の他に、忘れられない名歌手も偲びました。オペラ愛好家の皆様はそれぞれオペラに接した時期は違いますが、名歌手の優れた歌唱力や美声に賞嘆し、癒され、その芸術は至福の思いから生涯の支えにまでなりました。

前半を3大名歌手と、角南治之さんの≪ドン・カルロ≫~ロドリーゴの「私の最期の日」を大井千世さんのピアノ伴奏で歌って頂きました。後半は、60年代から90年代に亡くなった名歌手を偲び、最後に、角南さん大谷陽子さんの2重唱で≪リゴレット≫~「休みの日はいつも教会で」を大井さんのピアノ伴奏で歌って頂きました。優れた演奏に大きな拍手が続きました。

バスティアニーニ、カラス、デル・モナコの唯一無二の芸術性、ヴンダーリッヒ、プライ、ホッター、クラウス等の名歌手の秀でた美声と歌唱力にも堪能頂け、終了後のレストラン貸し切り食事会も名歌手の話が続きました。参加者で他用の方々は終了後退出の為、写真撮影に不参加でしたが、大勢のオペラ愛好の方の出席を頂きました。


 

 

12月3日    東京 第39回 勉強会

マリン・ファリエロ

ヴェネツィアの歴史を紐解くと。総督の権限は?

解説 桂川 清子

会場 品川区立中小企業センター
日時 14時~18

 

中世ヴェネツィアの10人、あるいは40人の合議制による政治形態は合理的なようで、実は勢力争いの温床だったことは、オペラ『二人のフォスカリ』に見られるとおりですが、この作品でもそれが背景になっています。ドニゼッティの音楽はやはり官能に訴えかける美しさに満ちていて、暗い物語の中で、この美しさが唯一の救いのように感じられます。

 

 

エットレ・バスティアニーニ研究会 2014年度活動行事計画



Activities of The Association for 2014
Attivita dell’Associazione in 2014

2014・1~2014・12


1月     新年度 会費納入案内

1月13日大阪音楽会(第9回)

☆♪★♫主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます。
会場 日本基督教団浪花教会
日時 PM2:30~5:15



声楽&ピアノコンサート プログラム 
演奏者16名
演奏順記載

第一部

1、東恵美 カッチーニ「アヴェ・マリア」
2、藤満健 マルチェッロ「私を燃え立たせるあの炎」
3、志熊道夫 ガスタルドン「禁じられた音楽」
4、横川隆一 トスティ「理想の人」
5、刈米興子 ロッシーニ「ラ・ダンツァ」
6、山口俊二 コンヴァース「星の宙」、杉山長谷夫「花嫁人形」

ピアノ演奏
7、藤田牧子 ウエーバー「ソナタ2番」3、4楽章


8、武井正之ソ ヴィエト歌謡「鶴」、ムソルグスキー「蚤の歌」、滝廉太郎「荒城の月」
9、丸山幸子&横川隆一 ヴェルディ《ラ・トラヴィアータ》「パリを離れて」

ピアノ演奏
10、大井千世 ショパン=リスト「6つのポーランド歌曲」5より「私の愛しい人」、ショパン「ソナタ3番」1楽章

第二部
ピアノ演奏
11、水沼寿和 アリャビエフ=リスト「鶯」、ヴェルディ=リスト《エルナーニ》演奏会用パラフレーズ


12、丸山幸子 チレア《アドリアーナ・ルクヴルール》「私は芸術のつつましい僕」
13、志熊道夫 ヴェルディ《ラ・トラヴィアータ》「プロヴァンスの海と陸」
14、刈米興子 ヴィヴァルディ《バヤツェット》「私は無視された妻」
15、東恵美 団伊玖磨《夕鶴》「さようなら」
16、武井正之 ヴェルディ《ドン・カルロ》「ひとり寂しく眠ろう」
17、大谷陽子 ヴェルディ《ラ・トラヴィアータ》「ああ そはかの人か」「花から花へ」

ピアノ連弾演奏
18、長畑暁子&藤満健 エドゥアール・ヴォルフ、藤満健 編曲「イル・トロヴァトーレの主題によるデュオ・ブリラント」


伴奏ピアノ演奏者()内数字は演奏順番号

赤松充子(武井正之8.16)、浦史子(志熊道夫3.13)、
大井千世(大谷陽子17・丸山幸子9・横川隆一4.9)、
長畑暁子(藤満健2)、藤田牧子(東恵美1.15、・丸山幸子12)、
松尾美智子(山口俊二6)、水沼寿和(刈米興子5.14)


歌曲、オペラアリアの歌とオペラ2重唱、ピアノ独奏と連弾という盛りだくさんのプログラムで大勢の観客の皆様に喜んで頂け、演奏者と共に楽しく賑やかなコンサートとなりました。


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1月18日東京ミニ音楽会(第8回)

☆♪★♫主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます。
会場 代々木の森 リブロ音楽ホール
日時 PM4:00~5:30



演奏会プログラム


1、会田訓子 シュワルツ「ウィキッド」~「魔法使いと私」「私はその彼女じゃない」
2、刈米興子 ドリーブ「カディスの娘」マスネ「ル・シッド」~「泣きなさい、私の瞳」
3、久保庭重夫 マルティーニ「愛の喜びは」モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」~「奥さん、これが恋人のカタログ」
4、白水寛子 チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」~「私はつつましい芸術の僕」マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」~「ママも知る通り」 
5、多田暁美 中田喜直「雪うさぎ」、箕作秋吉「悲歌」プッチーニ「蝶々夫人」~「おまえ、かわいい坊や」

ピアノ
1、水沼寿和 ヴェルディ=リスト「エルナーニ」による演奏会用パラフレーズ、ショパン「ノクターン」

歌伴奏者
竹内知子1,3,4,5と全員合唱曲。水沼寿和2

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3月29日 大阪 勉強会(第33回)

「レニャーノの戦い」 ヴェルディ
ローマ帝国復活を夢見た教皇の介入により、複雑化したイタリア事情とコムーネの誕生

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko Katsuragawa
Commentatrice:kiyoko Katsuragawa
会場 大阪市駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター 6階 第2研修室
日時 総会PM1:30~2:00 勉強会 2:00~5:00


「レニャーノの戦い」は、イタリアでは皇帝軍にコムーネが勝利した記念としてお祭りも行われている大事な戦いとして知られている。12世紀戦い時の教皇と神聖ローマ皇帝フリードリッヒ1世(オペラではフェデリーコ・バルバロッサ)の関係、ロンバルディア同盟の各都市の思惑、市民軍のそれぞれの状況を解説された。恋愛と友情が絡んだドラマはオペラではよくある設定だが、1961年のスカラ座シーズン開幕初日公演でバスティアニーニ、ステッラ、コレッリの圧巻の声の饗宴には、最近の歌手たちの及ばない歌唱力の魅力を感じられていた。ヴェルディが込めた「イタリア国家統一運動」の熱意とこの有名な歴史的戦いを理解しながら鑑賞して頂けた。

作品背景の理解が掴めた、普段ここまでわからないことがわかった、という声を多く頂きました。


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4月5日 東京 勉強会(第28回)

「運命の力」 ヴェルディ

ドラマ性表現、音楽作風の集大成と新たな模索の結晶作品

解説 丸山 幸子
Commentator: Sachiko.Maruyama
Commentatrice: Sachiko.Maruyama
会場 品川区立中小企業センター
日時 総会PM1:30~ 勉強会2:00~6:00

 

ヴェルディがそれまでの作品と違う作風を試み、それが以後の《ドン・カルロ》の深い感情描写に繋がり、近代的なオペラ作風への足掛かりとなった。後の《アイーダ》≪オテッロ≫≪ファルスタッフ≫を生む重要な位置にある作品を音楽面から見る。自作改作した作品が多いが、この《運命の力》に関しては、初演版のドラマティックさには高い評価がされるべきである。改訂版との違いを見、特に初演版3幕からの暗明暗シーンそして4幕開始の明シーンと改訂版の暗暗明と4幕明シーンを解説し、それぞれの長短所を検証する。ヨーロッパ中を巻き込んだ18世紀オーストリア継承戦争を背景とした社会とその疲弊から生まれた原作からオペラとなった音楽は、ドラマからは1世紀進み、19世紀世相と社会に適合する音楽世界が求められ変換が迫られていた。改訂したことで初演版から矛盾が生じる歌詞があり、その矛盾に対応した上演の例や、僅かな歌詞に込められたドラマの背景なども解説。

初演版と改訂版をしっかり把握できた、細かく検証した内容から多くが学べた、この作品の位置の重要さがわかった等の声を頂いた。

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❀★✪ 6月に研究会は、定期活動を開始して10周年となります。

6月8日東京 勉強会(第29回)

「二人のフォスカリ」 ヴェルディ

ヴェネツィア共和国、政治に翻弄さ
れる商人貴族たち

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場 品川区立中小企業センター
日時 PM2:00~6:00

 

15世紀半ば、繁栄の最中にあったヴェネツィア共和国10人評議会を舞台にした過酷な政争背景をしっかり把握することこそ、この作品への理解の重要ポイント。背景を知ると父子の情愛を表に出せずに苦悩するだけでない人間ドラマを、ヴェルディが社会の不条理と共に描きたかったことが見えてくる。作品を深く理解できたという参加者の声を多く頂いた。

 

 

7月12日 大阪 勉強会(第34回)

「スペードの女王」 チャイコフスキー

チャイコフスキーが音にしたロシア社会と人

解説 丸山 幸子
Commentator: Sachiko.Maruyama
Commentatrice: Sachiko.Maruyama
会場 大阪駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター  6F 第2研修室
日時 PM2:00~5:00

 


ロシアが生んだ天才そして人気作曲家チャイコフスキーオペラの理解とロシアオペラや音楽を見る意味で取り上げた。既にロマン派音楽が古くなり、現代音楽の潮流にあった中で、作曲家は「精神性オペラ」で、人間と社会の問題を提起した。ロシア近代音楽化への道と近代化に進む帝政ロシア社会で、「必然的に」ロシア国民楽派とプーシキンはじめとする文豪が生まれる。多くの要因に影響されながら、独自の音楽スタイルで社会と人を描き出した。様々な公演と演出からテーマをどう描いたか、日本ではソヴィエト時代の来日公演で紹介され広まったことにもデータで言及。


参加者から❣・作品名は知っていたが、きちんと聴いたことなかったので期待していた ・作品を良く理解できた ・資料が読みやすくありがたい ・チャイコフスキーそのものへの再評価をした ・ロシアの当時の時代や様子がわかり、プーシキンに興味を持った ・知っていたが、細かく今日知ることができた ・オペラに派手さがなかったので、まともに聴いたことがなかったが、優れた構成力と教養で成し遂げられたことが分かった。決して「白鳥の湖」に象徴される作曲家ではない。改めてチャイコフスキーに感服した。交響曲管弦楽曲ピアノやヴァイオリン協奏曲室内楽歌曲バレエ曲・・とオペラ、これほどの大作と多作のしかも優秀な作品を生んだことが素晴らしい。他の作曲家に影響を与えている。チャイコフスキー再評価の機会となった。等の感想を頂いた。



 

スペードの女王

8月 東京 夏のお楽しみ特集(第6回)

バレーとオペラに見る《ドン・キホーテ》

 

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場 品川区立中小企業センター
日時 PM2:00~6:00

マスネの音楽から気高い道化師ともいえる老騎士の哀れさが胸に迫るオペラも素晴らしい。そして、歴史の重みを感じさせてくれるパリオペラ座のバレエ舞台に込める装置美術スタッフの情熱と力量が伝わり、両芸術の厚みを感じた感想を頂いた。


9月 大阪 特別勉強会(第2回)

「オペラポプリ」 三部構成


Commentator: Nobuo Mori Tooru Yamashita

Commentatore: Nobuo Mori Tooru Yamashita

会場 大阪駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター
日時 PM2:00~6:00



第一部 ご逝去された会員への追悼 2013年、2014年に亡くなられた会員3名の方々を写真や音楽で偲ぶ。家族より親しく親密に交際し、心が深く通じ合い、オペラを楽しみ合った思い出を語って頂いた。 進行 丸山幸子

第二部 「ヴェルディ、プッチーニと生きたトスカニーニ」 解説 森 信雄 大指揮者のデビューから引退までの活動、人間性とオペラ上演改革に尽力した功績を中心に言及された。

第三部 「やましたとおるのイタリアオペラ」 解説 山下 徹 ワーグナーの魅力も認めながら、ロッシーニ他のイタリアオペラの人の心に直観的に響く美と魅力について話された。

 

 

11月2日 大阪 勉強会 (第35回)

 

「カラスのライヴァルたち

海賊版の女王 レイラ・ジェンチェルの場合」


解説 西木 正

Commentator: Tadashi Nishiki

Commentatore: Tadashi Nishiki


会場

会場 大阪市立生涯学習センター

日時

勉強会 PM1:00~5:00

 

多くのライヴ録音が残りながらスタジオ録音が少ないので、「海賊版の女王」と言われていることでも有名です。カラスやバスティアニーニとその後に続いたカバリエ、クラウス、パバロッティの時代にも活躍したオペラ黄金時代を見る上で意義ある実力派ソプラノ歌手でした。オペラの醍醐味は歌手たちの声の饗宴も大きな要素。コッソットと火花を散らすヴェローナのアイーダや、バスティアニーニや多くのライヴ盤を紹介し、当時のテノール歌手や名歌手に言及、流麗な音楽と迫力ドラマを歌の声で展開させるイタリアオペラの真骨頂、当時のオペラ界の華やかさを提示された。また参加者のある女性は、1972年大晦日にフィレンツェで≪アッティラ≫のギャウロフとムーティ指揮の共演でジェンチェルを鑑賞された思い出を話された。



カラスのライヴァルたち

11月30日 東京 勉強会(第30回)

「ホフマン物語」オッフェンバック
オペレッタで一世を風靡したオッフェンバック最後の未完の大作

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場 品川区立中小企業センター
日時 PM2:00~6:00

 

三つの話しに各主人公がいたのを台本作家のバルビエがホフマンの物語にしたことや、展開のため狂言回しのような役割を持たせるミューズやニクラウスを登場させたこと、オッフェンバックが当時の世相にアイロニーを織り込んだ才能などに言及。

11月 大阪 勉強会(第35回)

「トリスタンとイゾルデ」ワーグナー

作家としての才能、「恋愛心理と究極の愛」を芸術的高邁な音楽で昇華させた異色作

解説 丸山 幸子
Commentator: Sachiko.Maruyama
Commentatrice: Sachiko.Maruyama
会場

大阪駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター  6F 第2研修室 (予定)

日時 PM2:00~5:00



1月 大阪 音楽会と新年会

主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます


1月 東京 東京ミニ音楽会

主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます


エットレ・バスティアニーニ研究会 2013年度活動行事計画

Activities of The Association for 2013
Attivita dell’Associazione in 2013

2013・1~2013・12

1月5日大阪音楽会(第8回)

☆♪★♫主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます。
会場
日本基督教団浪花教会
日時
PM2:30~5:00



演奏会プログラム

ピアノ演奏

1 大井千世 メンデルスゾーン「春の歌」/ ショパン「ノクターン遺作」嬰ハ短調 
2 藤田牧子 リスト「ため息二長調」三つの演奏会練習曲集第3番 
8 水沼寿和 リスト「ハンガリー狂詩曲」第12番嬰ハ短調

3 角南治之 トスティ「もう、君を愛さない」
12 角南治之 ロッシーニ《グリエルモ・テル》「動いてはならない」
4 武井正之 チャイコフスキー《エウゲニー・オネーギン》「恋は年齢を問わぬもの」
5 大谷陽子 ベッリーニ《夢遊病の女》「ああ、信じられないわ」~「最高に嬉しいの」
6 刈米興子 ドニゼッティ《ポリウト》「何故か心地よい涙が頬を伝う」
13 刈米興子 ドニゼッティ《ファウスタ》「あなたはもはや天国で安らかに」
9 志熊道夫 マルティーニ「愛の喜び」モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》「窓辺においで」
10 横川隆一 トスティ「秘密」「夢」
11 丸山幸子 ヴェルディ《オテッロ》「柳の歌」~「アヴェ・マリア」

オペラ2重唱

7 山口俊二&丸山幸子 レハール《メリー・ウィドゥ》ワルツ「唇は閉ざされて」
14 角南治之&大谷陽子 ヴェルディ《リゴレット》~「休みの日にはいつも教会で」

歌伴奏者 大井千世(大谷・角南・丸山)、浦 史子(志熊)、
藤田牧子(横川・山口&丸山)、 水沼寿和(刈米) 
※ 数字は演奏順

演奏水準がレベルアップしたと皆様から喜んで頂け、最後の演目《リゴレット》2重唱は拍手喝采でした。3人のピアノ独奏は素晴らしく、歌曲、オペラアリア、2重唱があり、そして一般に声楽の場合女性が多いが、バス歌手の出演まであって本当に多彩なプログラムで楽しいという声をたくさん頂きました。
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1月18日東京ミニ音楽会(第7回)

☆♪★♫主に会員の方々の歌とピアノの演奏を楽しみます。
会場
文京区シビックホール 練習室2
日時
PM4:00~5:30



演奏会プログラム

ピアノ独奏

5  ピアノ独奏 水沼寿和 ショパン「舟歌」

1 仲村知子 ヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》「炎は燃えて」マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》「ママも知るとおり」
2 丸山幸子 ヴェルディ《オテッロ》「柳の歌」~「アヴェ・マリア」
3 久保庭重夫 シューベルト「鳩の使い」中田喜直「行く春」
4 刈米興子 ドニゼッティ《ロアン家のマリア》「神よ、どうか御慈悲を」、《ポリウト》「なぜか快い涙が頬を伝う」

全員合唱

6 日本の童謡・唱歌

ピアノ伴奏者 竹内知子(仲村、丸山、久保庭、全員合唱曲)水沼寿和(刈米) 
※ 数字は演奏順


2月16日 大阪 勉強会(第30回)

「アンドレア・シェニエ」

革命時のフランスの世相とシェニエやジェラールのモデルについて。映像や音源から作品を楽しみ、名テノール名バリトン名ソプラノで歌われたシーンを見ます。バスティアニーニの名唱も聴きます。

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko Katsuragawa
Commentatrice:kiyoko Katsuragawa
会場
大阪市駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター 6階
第2研修室
日時
総会PM1:30~2:00 勉強会 2:00~5:00


実在のアンドレア・シェニエや原作を資料と共に解説。革命時のフランスの世相、既存の体制や様式を打破しようとする風潮、シェニエの詩の韻を踏むという従来の約束事に拘束されない作風が当時の人々の要求に合致したこと、それが彼を時代の嬰児にした。またジェラールのモデルは当時、大勢存在した。革命時の混沌ぶりとその影響を受けた人々の悲劇をオペラにしたジョルダーノのヴェリズモ的音楽と近代音楽の到来。イッリカの台本の巧さ。歌手たちに求められる歌の表現から、ドラマはどう深められ伝わるかなど歌手の聴き比べからも検証。

感想 普段は音楽と歌手の声ばかりしか興味なかったが、フランス革命の前後の社会がよく理解でき、今後のオペラ鑑賞に大変プラスになった。革命時の混沌と指導者たちのセクト主義で多くの人命が失われた背景が明瞭にわかって、このオペラの本当の悲劇を実感できた。革命時のことと、係わった人物の話しに感心した。ジョルダーノの音楽作りは心に残る。解説でドラマとオペラの両物体の内側を見せて貰えたような気がした。

3月31日 東京 勉強会(第25回)

「タイース」 新しい資料に基づきタイースの背景など

エジプト悠久の神々の国からキリスト教国となる時代の少し前の物語です。アレクサンドリアの繁栄と宗教。
マスネの音楽と心に沁みるバスティアニーニのアタナエル歌唱の魅力の世界へ。

解説 丸山 幸子
Commentator: Sachiko.Maruyama
Commentatrice: Sachiko.Maruyama
会場
品川区立中小企業センター 3階 小会議室
日時
総会PM1:30~ 勉強会2:00~6:00


古代からの遊女の存在、ローマとエジプトの関係、キリスト教の弾圧と普及、神の存在のテーマを作家アナトール・フランスが小説にした『タイース』。これを2012年没後100年になるフランスの大作曲家マスネが見事にオペラ化した《タイース》の世界を解説。バスティアニーニ31歳時のライヴ録音のアタナエル歌唱の秘めた情熱と抒情性を湛えた歌に感嘆する。

感想 ★これまでは《タイース》のCDを聴くたび、マスネの耽美的な音楽と、バスティアニーニのこんこんと溢れるような美声が印象に残り、それらに浸るだけでした。煩悩と信仰のせめぎあいだけではない、宗教に深く根差した問題を描くドラマであることを知ったのは、とても興味深いことでした。❤今回のお話も大変興味深く拝聴しました。いつもながらの話しと資料が広くて深く濃く感嘆する。初めてあの瞑想曲のメロディーに、バスティアニーニの声が寄り添うように出てくる部分を聴いた時、あまりの官能的な美しさに呆然としました。❡ 「タイース」についてのお話や映像も、このオペラを深く味わうためのよい導きになり感謝しています。それにしても、バスティアニーニのアタナエル、苦悩する若い僧をどうしてこれほど自然に、しかも気品をもって歌うことができたのでしょうね?彼は大げさな演技はしないだけに、よりストレートに役柄の真実が伝わってきます。❥❥エジプトのキリスト教の歴史がこのようであったかと今日はここで随分知ることができた。勉強になりました。✪☸今迄自分では《タイース》はよく知っているつもりだったけど、こんなにきちっとわかった感じを持ったことがなかった。改めて深い内容の作品だと認識できた。❥♫今までの勉強会でも深く切り込んだ内容だったが、今回は「出色の出来だった」。家できっちり資料を読んだが、かって解説書でここまで書かれた文を読んだことがない。あれだけの事柄の内容をよく提供された。自分自身が《タイース》に抱いていた持論・立ち位置が間違っていなかった、と確信が持てた。資料もアレクサンドリアの焼けた図書館跡の写真など見られて良かった。資料で作家フランスについて触れた「ドレフェス事件」も昔の映画「ゾラの生涯」でこの事件のシーンを見て深い印象で記憶にあったことが思い出された。

6月8日 大阪 勉強会(第31回)

「運命の力」 ヴェルディ生誕200年 有名大作曲家円熟期、音楽作風の集大成と新たな模索の結晶作品

声楽とドラマ性表現、作風を見ます。バスティアニーニの多くのライヴ録音からその優れた歌唱も聴きます。

解説 丸山 幸子
Commentator: Sachiko.Maruyama
Commentatrice: Sachiko.Maruyama
会場
大阪駅前第2ビル 大阪市立総合生涯学習センター6F 第2研修室
日時
PM2:00~5:00

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ヴェルディのロマン派から近代音楽へと移行する試みが鮮明に表れた。この作品は愛されている割に上演が少ない。改訂版で3幕4幕で一部カットされる版もある。まずは初演版と改訂版の変更箇所の把握によって、ヴェルディが意図した初演版1幕 暗 2幕 明・静・静 3幕 暗・明・暗 4幕 明・暗シーン展開が、改訂版では崩れ、進行面でつじつまが合わなくなる箇所を認識する。そうすると、なんとか場面展開で繋げていることも把握できる。オーストリア継承戦争背景や、スペインでの騎士団存在と歴史、アルヴァーロとレオノーラの微妙な愛の表現なども語る。

感想 ❤普段この作品を表面的にしか聴いていなかったが、《運命の力》がこれほど知る内容がある作品と思っていなかった。✩映像もたくさん見られて深い内容の話しを聞くことができてためになった。バスティアニーニの声、歌唱力、表現力と存在感は圧巻だった。☸作品の周りのことでこれほどの内容があるのかと驚いた。❥作品や話のことも勉強になったが、バスティアニーニの声に本当に感動する。♫いろいろ勉強になったが1958年のテバルディ、コレッリ、バスティアニーニの歌には驚くばかりで感動する。✪よく調べて話してくれている。ありがとう。等のお声を頂きました。


6月22日 東京 勉強会(第26回)

「レニャーノの戦い」

ローマ帝国復活を夢見た教皇の介入により、複雑化したイタリア事情とコムーネの誕生。

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場
品川区立中小企業センター
日時
PM2:00~6:00


当時の教皇、神聖ローマ皇帝の権力関係を踏まえた史実レニャーノの戦いの背景。作品からも北部同盟の誇りが見え、リソルジメントは歌詞と音楽に織り込まれている内容で解説。
感想 ★あらすじの80%が恋愛物語という作品ですが、当時のイタリアの政治情勢を重点にして語られました。神聖ローマ帝国の皇帝フリードリッヒ一世(通称バルバロッサ)は武力で北イタリア都市国家を押さえつける。それら諸都市はロンバルディア同盟を結び、反乱を起こす。レニャーノの戦いは1176年にこの同盟軍が神聖ローマ帝国軍を破った戦闘。筋は、軍司令官ロランドの妻リーダが、死んだと聞いていた婚約者だったアリーゴに再会したことから始まる悲劇。ロランドの誤解と怒り、リーダの苦しみ、アリーゴの苦悩と死。ロランドを歌うバスティアニーニの豊かに広がる声は、視覚を伴わなくても聴き手に場面を容易に想像させる力がありました。《レニャーノの戦い》は1849年の作曲ですが、1850年代のリゴレットやトロヴァトーレと比較して、ヴィルトゥオーゾ的な歌唱を重視している点、興味深く思いました。 ✰✰ こういう経過で北部同盟が結成されたことを知ってこのオペラの理解度が急激に増した。/ 今まではストーリーと歌手の声だけを聴いていたが、だんだんとオペラの楽しみ方が分かってきた。/ 教皇や神聖ローマ皇帝の歴史がわかってきて、解説にとても感心した。/ レニャーノの位置がわかり嬉しい、興味が沸いた。/ 私が持っている数少ないOPERA本には詳しく記したものがなかったのでやっとしっかり理解出来た!

8月24日 東京 夏のお楽しみ特集(第5回)

《オルフェオ》 オペラとバレー

黄泉の国に行った妻を捜して三途の川を渡る夫の行動とは

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場
品川区立中小企業センター
日時
PM2:00~


オルフェオとエウリディーチェの悲劇はグルックやオッフェンバックもオペラ化していますが、ヤコポ・ペーリの作曲《エウリディーチェ》は現存する世界最古のオペラで、初演は1600年10月6日。そのころの演奏ではリュートがイニシアチブを取り、トランペットやチェンバロがそれに従っていた。メロディーは単調でいながら、難しい声域での長音や繊細な技巧が要求される点、当時の声楽がすでにハイレベルに達していたことが想像できる。

11月4日 大阪 勉強会(第32回)

「ヴェルディとワーグナー大研究」
ヴェルディ&ワーグナーの作品群に見る思想

解説 錦職 昭彦
Commentator: Akihiko.Kinsyoku
Commentatore: Akihiko.Kinsyoku
会場
ザ・パレスサイドホテル 京都
日時
PM1:00~5:00

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京都の会場で初めて勉強会を開催した。ヴェルディとワーグナー生誕200年祭にふさわしい両巨匠の代表作から、二人の秀逸さ・音楽性・特色・個性・オペラへの理想の違いなどを、《リゴレット》《ドン・カルロ》《オテッロ》《ジークフリート》《神々の黄昏》《パルシファル》から、比較も含めて紐解かれた。ヴェルディらしい展開と劇的アリアとワーグナーを意識させる後期作品、両巨匠に通じる2重唱描写場面、ワーグナーの哲学性が滲む場面の解説も含まれた。満席の参加者から、「改めて両作曲家の描く奥深い面が見えた」「作品の意図する深い面を知り、鑑賞の仕方にヒントを得た」等の感想を頂いた。

11月30日 東京 勉強会(第27回)

「アッティラ」
古代ローマ崩壊直前、西ヨーロッパに恐怖を覚えさせたフン族の王

解説 桂川 清子
Commentator: Kiyoko.Katsuragawa
Commentatrice: Kiyoko.Katsuragawa
会場
品川区立中小企業センター
日時
PM1:30~6:00


アッティラの勢力を認め、ローマ、ヨーロッパを守ろうと交渉した東西ローマ帝国皇帝たち。滅ぼされる前のアクイレイアの町の雰囲気イメージを資料で見て貰う。ヴェルディ作曲当時の音楽様式の華麗さ、台本作家の途中投げ出しの影響を受けたマイナス面はあるが、作品の力とヴェルディの才能を音楽で実感して貰った。